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結納品・儀式や風習について

結納

ふだんは特別に意識しなくても、なにかの節目には自然に思い出す日本の習わし。古きよき伝統に触れるとき、凛とした清らかな気持ちになるのは、なによりも私たちの中に長い時をかけて受け継がれてきた日本人の美意識、そして日本人のこころが息づいているからではないでしょうか。
結納は、「結婚」という大きな節目を前に、二人の気持ちを初めて公にする美しいしきたりです。 儀式というと大上段に構えてしまうかもしれません。でも、結納の過程をひとつひとつ進めていくうちに、時代を越えて変わらない結婚へのひとつの思いが感じられるのではないでしょうか。
幸せになりたい、そしてなろうとする決意する二人の思い。そんな二人を見守るかけがえのない人たちの思い。 結納の儀式美の中には、そんないちずな思いがこめられ、それをかたちにしたものが結納用品(結納品)なのです。ひとつひとつの品に託された深い意味を知れば、いっそう強く絆が結ばれることでしょう。

結納は日本の伝統的な婚約のかたちでいろいろな品物を相手に贈ることによって結婚の約束を公にし、正式なものとする儀式です。全国一様になりつつある結婚式などと比べると地域性が最もよく残っている婚礼儀式と言えるでしょう。 結納はもともとは、両家の婚約成立を祝う儀式そのものと、その宴に出される酒や肴を指していたようです。 また、姻戚関係を持つことによって、お互いに助け合い協力し合う間柄になるとの意味もあるようです。

結納はしない方もいらっしゃいます。只、格式張らず、最近では小型の結納のお飾りを用意して、挨拶程度の顔合わせの食事会をされる場合もございます。

婚約の誓いの証である結納は、現在では婚約の時にお祝いとして相手に贈る品物や酒肴がお金に変わったものです。結納金のことを小袖料、帯地料と呼ぶ地方があるのはこのためです。 二人(両家)が世間に婚約した事を正式に知らす大事なものであり、相手に対し誠意と敬愛を表す大切な手段が結納品であると言えるでしょう。

結納の基礎知識や地域性の説明

結納は各地域に根付いた「生活文化」と言われるだけに地方によって異なり、基本は西日本の関西式、東日本の関東式に大別され、一般的には、北海道、東北、関東、甲信越、中部、北陸、関西、中国、四国、九州・沖縄の地域に分類するのが適当といえます。そうしてこれらの地域の中でまた地方別のしきたりが育まれてきました。

関西式

関西地方では、多くの場合、結納は新郎側から新婦側へ贈るものであり、新婦から新郎へ贈るケースは少なく、「結納を納める」という表現をします。
関東地方の、双方が「結納をとり交わす」のとうは対照的です。 しかし、京都や周辺の北陸、中国地方の一部では新婦側から新郎側へ一回り小さい結納飾りを、あるいは、新郎側からの結納飾りの紙の色を赤から青に変えて、新郎側へ「袴地料」として贈る習慣があります。

婚礼文化発祥の地として全国に大きな影響を与えています。 広蓋、袱紗、風呂敷の進物用の道具もこの地方に端を発しています。 結納は熨斗、寿恵廣、小袖料、清酒料、松魚料の五品が基本でこれに結美和、高砂人形が付いて七品、寿留女、子生婦がついて九品が一般的です。結納品に家族のお土産はつけません。 女性側は受書を出しますが、受書は便宜上男性側が用意します。受書には熨斗、末廣、夫婦紙、おための金封が添えられ、白木台に乗せ五品の受書セットとして用意します。 京都では、家族書、親族書を添えて七品とします。花嫁道具の荷目録に対する男性側の荷受書は女性側が用意します。京都だけは中部地方と同様に簡単な引出結納を新しく調整して持参します。

結納の流れ/使者が両家を往復

結納の使者は、仲人さん、または新郎の身内のものが務めます。 新郎側より結納の品々を預かり、新婦側へ出向いて納め、新婦側から受書をもらって新郎側へわたすというのが基本です。しかし近年では、新郎の両親と本人が新婦家へ収めるケースが多くなりました。

結納品

関東にくらべ豪華な結納飾りを用い、それぞれを独立した献上台にのせて飾ります。品数は必ず奇数とされ、基本は五品(松、竹、梅、鶴、亀)ですが、最近では七品、九品、十一品から二十一品ぐらいまで飾る場合もあります。 結納品の中心になるのが、いわゆる結納金を包んだ金包で「小袖料」、「帯地料」または「宝金」と呼ばれます。

目録・受書・結納返し

目録とは、結納品の内容を記載したもので、結納品と共に新婦側に納められます。 受書にも、結納品の内容が記載されており、新郎側が持参したものへ新婦側が署名してたしかに受けとりましたという証しとして新郎側にわたします。

– 関西式結納セット -(品々のいわれ)

1. 熨斗
(のし)<鶴飾り>鮑を延ばしたもので、験の良い不老長寿を表しています。また相手に対して敬う心を託した、祝儀の象徴であり、最も大切なものです。その上に鶴を飾ります。
2. 寿恵廣
(すえひろ)<亀飾り>純白無地の扇子です。純白無垢と、末広がりの繁栄を願ってかざります。
3. 結納金
(ゆいのうきん) <松飾り>「小袖料」や「帯地料」、「宝金」と記されています。
4. 酒清
(柳樽)(家内喜多留) <竹飾り>朱塗りの酒樽のことで、祝酒を持参した名残りで、「清酒料」や「柳樽料」と記して、多くの場合は現金を包みます。
5. 松魚
(まつうお) <梅かざり>鰹節のこと。勝男節、勝男武士などとも書かれますが、剛気な男性の象徴です。実物のかわりに金子を包むことが増えています。

■七点セット(五点セット+結美和+高砂人形)
6. 結美和
(ゆびわ) 最近は、婚約指輪を結納品に加える場合が多くなっています。ダイヤモンド、または誕生石が一般的です。
7. 高砂人形
(たかさごにんぎょう) 共に長寿を願う祈りをこめて、尉(じょう)と姥(うば)を飾ります。

九点セット(七点セット+寿留女+子生婦)
8. 寿留女
(するめ) するめのことです。長期保存に耐える食品として、不時の備えをかためるという意味をもっています。
9. 子生婦
(こんぶ) 昆布のことで、子孫繁栄を願って贈ります。また、「よろこぶ」にも通じます。

結納は、熨斗・寿恵廣・小袖料・清酒料・松魚料の基本の5点からなり、相手の身のまわり品や、目出度い物を中心に品数をふやして奇数に揃えるのが一般的です。

関東式

関東地方の結納は、新郎側、新婦側がそれぞれほぼ同格の結納品を用意し、「お互いにとり交わす」という形がとられます。 結納セットそのものは、関西にくらべ、簡素です。また関西では、それぞれの結納品を独立した白木台にのせますが、関東では、すべてをまとめて白木台にのせています。

半返しの習慣のある関東

結納のとり交わしは、使者が両家を往復しておこなうのが正式です。 使者は、新郎側より結納の品を預かり、新婦側へおもむき、新婦側で両家の結納品を交換したうえで、ふたたび新郎側へ戻って新婦側からの結納品を納めます。 結納金については、新郎側が納めた「御帯料」(帯地料)の半額を、「御袴料」として新郎側へ納めるのがしきたりです。 また、「御帯料」の一割は、仲人さんへのお礼として両家で負担します。

結納品

関東では、両家が結納をとり交わす形となりますので、ほぼ同じ格式、品数のものを用意します。 関東の結納品は、「目録」を加えた九品目から成り立っています。全てをまとめて白木台にのせ、九品目セットとします。関西以西の場合は「目録」は品数に数えませんが、関東では「目録」を含めて、九品にととのえるのが一般的となっています。

目録・受書

関東地方以東では、目録も結納飾りの一品として数え、品数をととのえます。 目録には、九品の品目が記載されていますので、実際の結納飾りと目録の品目には差が出てくることになりますが、これはさしつかえありません。 受書は、結納を受けとったしるしとして、それぞれが署名したうえ、相手側にわたします。

結納当日の手順

関東では、新婦側からも結納が納められるため、使者は、新婦側の結納を受けとって新郎側にもち帰って納めますが、そのほかの部分には、関西と大差ありません。

– 関東式結納セット -(品々のいわれ)

1. 目録
(もくろく) 結納品の内容を記載したもので、結納品と共に新婦側に納められます。
2. 長熨斗
(ながのし) あわびを干して、長く延ばしたものです。あわびは昔から慶事に用いられた貴重な品で、長生不死の象徴です。
3. 御帯料
(おんおびりょう) 新郎側から新婦側へのものには「御帯料」(帯地料)、新婦側から新郎側へのものには「御袴料」と上書きし、結納金を入れます。
4. 勝男節
(かつおぶし) 鰹節のことで、男性の剛気の象徴です。保存食品であることから、不時の備えを意味します。
5. 寿留女
(するめ) するめのことです。鰹節と同じく、不時に備えての保存食であり。柳樽(酒)と対になった肴です。
6. 子生婦
(こんぶ) 昆布のことで、子宝に恵まれ、子孫の繁栄することを願ったものです。
7. 友白髪
(ともしらが) 麻の糸でつくられます。共に白髪になるまで長生きすることを願ったものです。
8. 末廣
(すえひろ) 潔白、純真、無垢を象徴し、白扇を用います。また、末広がりの意味もあります。
9. 家内喜多留
(やなぎたる) 健康、長寿、幸福、節操、剛健、誠実、偕老などを象徴するものです。