雛人形、母から娘に贈ってもいいの?
かなり前に高価な値段で買った、由緒正しき雛人形。一代かぎりで終わらせるのがもったいなくて「母から娘にお下がりとして贈ってもいいのかな?」と思うこともあるかもしれません。母から娘へ雛人形をゆずり渡しても問題はないのか、紹介していきます。
■雛人形って、お下がりでも大丈夫なの?
実家に美しい雛人形があると「嫁ぎ先に持っていきたいな」という気分になることもあります。地域によっては雛人形を嫁入り道具のようにとらえている所もあるので、結婚式の準備をおこなう時に雛人形をもたせるお宅もあるそうです。
せっかくお母さんが大切にしている雛人形があれば、娘として受け継いでやりたいと思うのは当然の気持ち。「お下がりとして譲り受けてもいいのかな?」と思ってしまいます。
・実家の雛人形を、新居に運びたいとき
・我が子の初節句用に、母の雛人形をもらいたいとき
・2人目の子ども用に、実家の雛人形をあてがいたいとき
雛人形を母から娘に譲り受けるシーンは実にさまざまなものがあります。お母さん側が「もういらないから、持っていって」とお願いするケースもあれば娘さん側が「思い入れのある雛人形がほしい」という場合もありますよね。雛人形のお下がりは許されるのでしょうか。
■雛人形、母から娘へ。見解は…?
雛人形のお下がりは、お人形屋さんや地域の慣習によって「いい」か「悪い」かで意見が大きく分かれるようです。まずは良い意見から見ていきたいと思います。
【いい意見】
・この辺りでは嫁入り道具として雛人形を持たせています。娘にも嫁ぐときには持っていってほしいと思っています。
・母がずっと大切にしていた雛人形。残念ながら、病気で早くに亡くなってしまったので、母の形見として雛人形をこの先も大切にしていきたいと思っています。ほかのお人形を買う気にはなれません。
・旅館を営んでいる我が家では、古くから同じ雛人形をかざっています。ずっと飾っていますが、とくに祟りがあったとか…災いに巻き込まれたこともありません。長年ずっと見守ってきてくれたお人形さんを見ていると、幸せな気持ちになれます。
いい意見としては、嫁入り道具として・お母さんの形見として・一家の家宝としてずっと大切にしてきた…という理由があるようです。たしかな理由があるからこそ、同じ雛人形をずっと大切に扱っていくことができそうです。
続いて悪い方の意見も見ていきます。
【悪い意見】
・雛人形は厄を吸い取ってくれると聞いたことがあります。そのため兄弟であっても、お下がりはNGなんだそうです。私も3人姉妹として生まれましたが、たしかに1人1体の雛人形を買ってもらっていました。そのため義理の母から申し出があったとしても、断ろうかと思っています。
・母から娘へ譲り受ける雛人形が流行っているみたいですが、昔のデザインと今のデザインは雲泥の差。せっかくなら今ドキの雛人形を娘に買ってやりたいと思っています。時代によって「雛人形の顔」も変わってくるみたいなので、できればトレンドのデザインの物が欲しいです。
・私は姉と2人姉妹です。以前、母から雛人形をもらおうとしたところ、同じように思っていた姉とケンカになってしまいました。姉いわく「あんただけの物じゃないから!」とのこと。たしかに姉の言うことも、冷静に思えば一理あるかと…。その後ケンカをきっかけに気まずい関係になってしまい、こんなことなら最初から新しい雛人形を買えば良かったと後悔しました。
★お下がりがまずい意見としては「1人ひとつが当たり前だから」や「古いデザインの雛人形はださいから」や「兄弟の誰が受け継ぐかで、もめてしまうから」などがありました。こうしてみると、お母さんから娘へわたす雛人形は、単なる美談だけでは済まなさそうです。
■気になる方は、新しい雛人形を
雛人形をお下がりするのは、いい意見と悪い意見があります。どちらが正しいという訳ではありませんが、どうしても気になる場合は「新しい雛人形を購入する」のがおすすめです。雛人形には「身代わり」という意味もあります。
その子の代わりに災いや事故・病気から、守ってくれるという大切な意味があります。雛人形はその子の分身のような物なので、たとえ兄弟でもお下がりはしてはいけないと決まっています。そのため血のつながったお母さんと娘であっても、譲り受けるのは本来NGと相場がきまっているのです。
ただ地域によっては「江戸時代から代々受け継いでいる雛人形がある」などの慣習が残っている所もあります。そうした地域は例外になってくるので、ご実家のお母さんやお父さん・ご兄弟とよく話し合ってどうするべきか決めていくことが大切です。
とはいえ雛人形は、桃の節句を代表する「幸せのシンボル」。おひなさまがニコニコと喜んでくれるように、結果的には家族みんなが笑顔になれる、素敵な選択肢を選んでいってほしいと思います。