雛人形のお道具について
三月三日は桃の節句です。
女の子のいるご家庭は特に、ひな祭りを祝うことになります。
ひな祭りにはひな人形を飾りますが、ひな人形について知り、お道具の種類まで知っている人はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか?
そんな方のために、ひな人形のお道具の種類について解説していきます。
「つるし飾り」
つるし飾りは主にちりめんの布で作られた小物やぬいぐるみを紐でつるして飾るものです。
竹製の輪につるされています。これは江戸時代から続く伝統の品です。
「食べ物に困らずに生活できますように」という願いが込められていると言われています。
「屏風」
屏風はひな人形を飾る際にはお姫様とお殿様の後ろに立てかけてあります。
金屏風はお姫様とお殿様の明るく輝く未来を表しているとも言えます。
そして光が当たるとよりおひなさまがきらきらと光ってより美しくお雛様たちを引き立ててくれます。
「毛氈」
「もうせん」と読みます。
これはおひなさまたちの下に引く絨毯のようなものを指します。特に緋色の毛氈は、魔よけの意味が込められていると言われています。
「ぼんぼり」
漢字では「雪洞」と書きます。
ひな祭りの歌にも登場するお道具で、ろうそく立てのようなものを絹で覆ったお道具です。
このお道具の由来は江戸時代までさかのぼります。
江戸時代は結婚式を行うのは夜が一般的でした。
ですので、ぼんぼりの明かりが必要だったのです。
そこから、おひなさまにもぼんぼりが飾られるようになりました。
ぼんぼりはお姫様とお殿様のそれぞれの脇に飾りましょう。
「桜橘・紅白梅」
桜橘が飾られるのが一般的です。
この桜橘は京都御所の中にある紫宸殿の、実際に植えられている樹木の配置にならって置くと言われている道具です。
また、紅白の梅を飾るおひなさまもあります。
飾る場所は向かって左側に白梅、右に紅梅です。
紅白なので縁起の良い樹木としておひなさまの飾りにされています。
これらの樹木は、五段目の仕丁達の左右など、段飾りの一番下にいるおひなさまの両脇に飾ります。
「貝桶」
六角形の漆塗りのお道具です。
これは貝合わせの遊びの貝を入れるためのお道具です。
江戸時代に大名の娘が嫁入り道具として持参していたものでした。
ですので庶民が使うことはなく、裕福な人に限定されていました。
貝桶はお殿様とお姫様の前に一つずつ飾ります。
「嫁入り道具」
ひな人形は結婚式を模したお人形と言えるので、今も日本で使われたりすることのある嫁入り道具を小物として飾ります。
箪笥、長持、表刺袋(うわざしぶくろ)、火鉢、針箱、鏡台、茶道具などがあります。
嫁入り道具はすべて室内で使えるもので構成しています。
嫁入り道具は七段飾りの時に六段目に飾られることが多いです。
「お輿入れ道具」
花嫁の乗った輿を婚礼の際に婚家に乗り入れたことから、お輿入れ道具がひな人形と共に飾られます。
お輿入れ道具は野外で使う比較的大きなお道具なので、一番下の段に飾られることがほとんどです。
平安時代に使われた「牛車」などがモチーフになっています。
「三方」
さんぽう、さんぼう、おさんぼう、などさまざまな名前で呼ばれるお道具です。
漆塗りの台のようなもので三つの穴が開いています。
三方の上には瓶子(へいし)が載り、熨斗のついた梅や桃の花が飾られています。
現代では熨斗や水引など縁起物で花をあしらったお飾りになっていますが、元々は三方に乗った瓶子に、魔よけの意味が込められた白酒を入れていたといわれています。
三人官女の真ん中の女性が三方を持っています。
「高坏」
高坏はたかつき、と読みます。食べ物を盛るための脚付きの器です。
ひな祭りでは紅白のお餅や和菓子を乗せています。
地位が高い人に食べ物を献上するときに使う道具です。三人官女それぞれの間に配置します。
「菱餅」
赤、白、緑のお餅を重ね菱形に切ったものが菱餅と呼ばれます。
桃の節句に食べる行事食の一つで、三色の菱餅は明治時代から広まったといわれています。
上から順に赤、白、緑となっていますが、特徴的な菱形には「長生きできますように」や、「我が家が子孫繫栄しますように」という願いが込められています。
以上がひな人形の主なお道具の紹介です。
おひなさまは、3月3日にしまわないと婚期が遅れてしまう、などの言説はありますが正しい説ではありません。
それよりもむしろ気にしなければならないのはおひなさまの取り扱い方です。
おひなさまは湿気が多い雨の日に出し入れするのではなく、からっと晴れた日に出し入れすることが重要です。
また防虫剤の入れすぎはシミなどの原因になるので防虫剤はほどほどに入れましょう。
人形用の防虫剤があれば安心です。
また取り扱うときは優しく、丁寧に扱いましょう。
保管場所は湿気を避けられるような暗い押し入れなどが良いです。
おひなさまにも、お道具にも、飾りにもひとつひとつ大切な意味が込められています。
桃の節句は一年に一度しかないからこそ、おひなさまと共に華やかにすごし、子供の成長を願いたいものですね。