羽子板の種類を見てみましょう
お正月の遊びとして、昔から親しまれている羽根突きは、振袖を着た女の子たちが羽子板で羽を突き合う遊びです。羽根突きは、平安時代に行われていた毬杖(ぎっちょう)という遊びに由来していると言われています。毬杖(ぎっちょう)とは、先端に木製の槌が付いた木製の杖を振って、木製の毬を打ち合う遊びです。この遊びが時代と共に変化して、杖が羽子板に、毬が羽根に変わり、羽根つきに変わったとされています。毬が羽根に置き換えられたのは、羽や紐の付いた分銅を蹴る遊びが中国から伝来したことがきっかけで、羽子板の別名が胡鬼板(こきいた)なので、それで突く羽を胡鬼子と呼んでいました。中国では胡鬼はとんぼを表すことばなのですが、日本では蚊を食べるとんぼは病を遠ざけてくれる昆虫だとされており、羽子板でとんぼのような羽根を突く遊びが、魔除けの儀式としても行われるようになったと言われています。そのようなことから、羽子板は厄災や病気を追い払い、子どもが無事に成長するように願いを込めて、生まれて初めてお正月を迎える女の子のお祝いとして、送られるようになりました。
そんな羽子板には色々な種類のものがあります。羽子板の違いには、大きくわけると「押絵」と「木目込」があり、制作工程(技術)が違っているものです。
押絵の技術とは、職人の技術によって、布で厚紙と綿を包んだパーツを組み合わせて、立体感のある絵を表現することができる技法です。木目込とは、土台に衣装を貼り込んで作るものです。木目込の方が、お値段が格安となっています。
その他、デザインの違いやお顔(面相)の違い、衣装の材料の違いやケースの違いなどがあり、それらによって価格も違ってきます。羽子板の大きさも、コンパクトなものから本格的なものまで、様々です。それぞれのお家の生活スタイルを考慮しながら、大きさも選んでいただけるので嬉しいです。
デザインの違いでは、標準型と振り袖型があり、標準型は古典的な定番のもので、板の中にパーツの全部がちゃんと収まっている形のもので、振り袖型は、振り袖の裾に広がりがあり優美なイメージの形のものです。最近では、振り袖型の方が主流となってきているようですが、それぞれのお好みによって選ぶと良いです。
標準型にも振り袖型にも、ケース入りのものがあります。ケースの内側に、上から吊るし飾りが付いている、お洒落なデザインのケースもあります。羽子板のケーキには色々な違いがあり、材質によってお値段なども違ってきます。ケースの材質は木製が一般的ですが、檜などの原材料のものを選ぶと、価格が高くなるようです。またケースには、塗っているものと木目をそのまま生かしているものがあります。ケースの内側の背景に、本金箔を貼った豪華なものや、桜などの華やかな絵柄、刺繍、吊るし飾りを付けたものなど、お好みに合わせて選ぶことが出来ます。また、ケース入り羽子板の他にも、額入り型の羽子板もあり、壁掛け式になっている額入りの羽子板で、飾り台も付いているのでスタンドに飾ることも出来ます。
お顔(面相)の違いでは、手書きと印刷とがあり、それぞれ違った雰囲気のお顔になっています。手書きのお顔は、塗り重ねられた色彩や、繊細に描かれた線により、表現豊かなものに仕上がっています。羽子板のお顔は、伝統的な美人画のほか、最近では現代的なお顔のものも多く見られるようになってきました。
衣装の違いでは、使用される布地の織り方や加工の仕方などの違いがあり、布地の種類は、金襴、友禅、刺繍などがあります。選ぶ時には、左右の生地の色合いやバランスなどをよく見て、自分の気に入ったものを選ぶと良いです。また、羽子板を選ぶ時に、自分の好みの作家さんの作品によって選ぶという方法も良いかもしれません。「むさしや豊山」の江戸押絵の羽子板や、「匠一好」(たくみいっこう)の押絵羽子板や、「江戸勝」(えどかつ)の羽子板など様々なものがあります。
匠一好の押絵羽子板は、現代的な色彩と素材の衣装が人気となっています。江戸勝の羽子板は、江戸時代より続く職人の手仕事により作られている押絵羽子板です。
羽子板は11月の中旬ごろから店頭に並び始めるようです。お子様のために早めに羽子板選びを始め、12月初旬ごろには飾り付けをされると良いでしょう。羽子板の置き場所には特に決まりはないようなので、自身の好みでセンスよく飾ると良いです。羽子板をしまう時期は、小正月(1月15日)過ぎが一般的な時期だと言われていますが、羽子板は縁起物なので、一年中飾っていても大丈夫なようなので、決まりはないようです。
羽子板には、本当に色々な種類のものがたくさんあり迷ってしまいますが、家族と一緒に色々悩みながら、素敵なお気に入りの羽子板に出会えるように、羽子板選びをすると楽しめます。
女の子の初正月のお祝いの日が、お子様の良い思い出となるように、楽しく羽子板を選びましょう。