羽子板の供養はどうすれば?
初正月に女児に贈られる羽子板ですが、いつしか飾る機会がなくなってしまうケースは多いものです。お子さんが成長して忙しくなった場合や、一人暮らしをはじめたり独立して家庭をもったりした時も、羽子板の出番が失われるかもしれません。昔ながらの習わしでは、飾るのは成人するまでが相応しいとされ、かつては15歳、現代では18歳か20歳をめどに役割を終えることになります。飾らなくなっても、そのまま保管しておきたい家庭もあるかもしれませんが、やはり収納スペースはとりますし、手入れしないと、やがて見るも無残な姿になってしまうもの。このため役目を終えた羽子板があれば、人形供養がおすすめです。供養と言う形にすれば、これまで災いを跳ね返してくれた羽子板への感謝の気持ちを形にできますし、幼少期から飾ってきた思い出のあるひと品を手放すにしても、心の整理がつきやすいと考えられます。
人形供養や人形感謝祭は、国内各地の神社仏閣、あるいは葬儀会社で執り行われているので、お近くで探してみると良いでしょう。古来から日本人は、ものには魂が宿ると言う考え方をしてきました。八百万の神々として有名です。その点では人形についても例外ではありません。現代でも長い時を過ごした人形は、どこか命を持っているように感じられる方も少なくはないようです。特に羽子板などの節句人形は、職人が魂を込めて作り上げていることもあり、今にも動き出しそうな感覚すらあります。このような人形をゴミとして廃棄するのは心苦しいものですから、手続きを踏んで供養してあげましょう。
人形供養や人形感謝祭では一般的に、お焚き上げと呼ばれる方法が用いられます。お焚き上げはお守りやお札、故人の持ち物など粗末に扱うことができない品物に対して用いる、宗教的にみても相応しい処分方法となります。お焚き上げに使う炎はただの火ではなく、庭燎を由来とするそうです。庭燎とは神聖なかがり火のことで、日本では古来よりこれによって神々をお招きし、照明として用いてきました。これと仏教の護摩を焚く儀式が合わさって、現代のお焚き上げに繋がったと考えられています。このような神聖な炎を使って供養することで、人形に宿った魂は平安を得て、静かに天に召されると言われています。
このお焚き上げはどんど焼きと違って、特に実施する時期は決まっていません。このため1月中旬でなくても、人形供養や感謝祭を行っている神社・仏閣は珍しくないのです。言い換えるといつでも対応してくれる可能性があるため、思い立った時にリサーチしてみると良いでしょう。ただし、神社・お寺によっては決まった時期にしか供養していない場合もあります。
具体的な供養の流れは宗派などによって違ってきますので、ここでは一般的な方法を見ていきましょう。まず、大勢の人形を一緒に供養する場合です。この場合は一度に、たくさんの人形を飾ってあげてから、法要を営みます。御経などによって供養してから、お焚き上げに移るのが一般的です。個別に供養する時は、人形のオーナーが参加することも多いです。本物のお葬式のように僧職・神職の方に同席して供養します。いずれを選んでも間違いではないので、好ましい方を考えて下さい。
なお、供養には一定の御布施や玉串料が必要になります。相場は地域などによっても違いますが、数千円位と考えておいて良いでしょう。ただし人形のサイズや量によって異なるため、注意が必要です。具体的には神社やお寺に問い合わせてください。以前は「お気持ちだけで」と曖昧な返答をするケースも多かったのですが、今では事情が変わって、具体的な金額を教えてくれる場合が増えてきました。昔気質な方だと金額を聞くと怒る可能性はありますが、そのような対応をされた場合は遠慮しておいた方が良いかもしれません。
なお、人形供養では基本的に、ガラスケースは廃棄できないと考えて下さい。葬儀会社ではサービスの一環としてガラスケースも引き取ってくれるかもしれませんが、基本的に神社などでは、本体だけの処分となります。また、場合によっては道具類も引き取ってくれない時もあります。この場合の処分方法は自治体のルールに従って、分別しましょう。お清めの意味を込めて塩を振りかけ、お礼を言ってから処分するようにします。
供養をしてくれる神社・仏閣・葬儀会社はオンラインで探して、予約できるサービスも増えてきました。この方法は手軽ですので、一度、検索サイトなどで調べてみてはいかがでしょうか。また、近くで見当たらない時には郵送で供養を引き受けてくれる場合があります。羽子板を梱包して所定の住所に送り届ければ、後は先方で適切に供養してくれるのが特徴です。他にご高齢の方など、羽子板の運び出しや移動が難しい時には、出張してくれるサービスもあるので、そちらも要検討。車を使えなかったり、人形の量が多い時にも相談してみると良いでしょう。
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