上杉謙信の五月人形 文武両道の戦国武将!
男の子のお守りとして親しまれてきた五月人形は、今では更に役割が増えて、「あの武将のように育ってほしい」と言う願いも込めて飾るケースが増えてきました。特に有名な武将をモチーフにした五月人形が人気で、名将・智将・豪胆な武士などラインナップは充実しています。そんな中でも、ひときわ注目を集めている武将の一人が、上杉謙信です。上杉謙信は風林火山で有名な武田信玄とライバル関係にあり、他にも織田信長らと壮絶な戦いを繰り広げてきました。幾度もの激戦を切り抜けてきた彼の戦の上手さは称賛の的で、「軍神」、「越後の龍」の異名を持っています。
そんな上杉謙信の五月人形は、ご家庭で飾るのにもぴったりのひと品です。どんな苦難も払いのけてきたのですから、もちろん、厄除けの人形としても喜ばしいもの。加えて、彼には義理人情の厚さや冷静な判断力、武力だけではなく商業や芸術にも秀でた多才さもあります。その上で部下思いで子供にも優しいと、現代においても理想の英雄像と言えるかもしれません。そんな上杉謙信の五月人形ですから、お子様には「このような人物のように育ってほしい」と言う祈念も込めて、飾られているのでしょう。
また、このような実在の武将の五月人形を飾ると、お子様の成長にあわせて会話の糸口になるのも、好ましい点と言えます。特に上杉謙信は逸話に事欠かない人物ですから、端午の節句の前後においては歴史の話などで、盛り上がるかもしれません。お子様が謙信公を手本にされるのは喜ばしいことですし、ここから歴史や社会に興味をもち、学問への影響も期待されます。
ここからは、お子様に聞かせてあげたい、上杉謙信の逸話について見ていきましょう。五月人形を眺めながら、彼の人となりや学びたいポイントについて、話してあげると有意義かと思います。
まず、上杉謙信と言えば何と言っても、川中島の戦いです。永遠のライバルだった武田信玄と激しくしのぎを削り、合計5度の軍事衝突を起こしたのが、この戦い。最終的に謙信公は損害を被りますが、代わりに武田軍の勢いを封じることに成功しました。この戦いの中で有名なのが、武田信玄に一騎で打ちかかったエピソードです。謙信公は戦術家として知られており、智将で策をめぐらせるイメージが強いのものの、豪胆な一面も併せ持っていました。戦場でも白頭巾で兜はかぶりませんし、鉄砲玉が飛び交う中で悠然と食事したこともあります。そして、この川中島の戦いでは自ら指揮を執りつつ、機をみて武田軍の本陣に突入。単騎で突進し、信玄公本人に切りかかったと言うことです。リーダーが自ら率先して動く、現代社会でも見習いたい一面ではないでしょうか。
また、義の心を持ち、困難な立場の人間を助ける動きが多いのも、彼の特徴の一つです。と言うより、彼が経験した戦の多くが、救援要請によるものと考えられています。もちろん、知力の高い武将ですから、ある程度は見返りや実利があると判断したのでしょうが、それでも、人の心を打つような行動が散見され、敵からも評価されていたようです。これに関しては織田信長との戦いが有名でしょう。もともと上杉と織田は同盟関係にありました。しかし、上杉は当時、不仲で戦になったこともある本願寺顕如や、将軍だった足利家からの救援要請を聞き入れて同盟関係を破棄。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった織田軍と手取川の合戦に臨み、一方的に撃破しています。このような人柄から、かの武田信玄も死の間際に「何かあったら上杉謙信を頼れ」と言ったそうです。
曲がったことも嫌いで、有名な「敵に塩を送る」逸話も生まれています。これは、武田家が周辺国と緊張状態に陥り、塩の流通が停止された時の話です。武田の領地は海に面しておらず、塩の流通を止められると悲惨な状態にありました。言うまでもなくナトリウムは、人間とってに欠かせないミネラルです。塩を止められると、周囲に山しかない武田の所領は、死者と病人であふれかえったかもしれません。これに対して上杉謙信は、武人は戦によって決着をつけるもので、卑怯な手口は使わないとして、敵対関係にあった武田に塩を送るよう命じたと言うものです。
このような、人生において教訓となるような逸話に事欠かないのが上杉謙信です。五月人形を飾った折には、ご両親や祖父母の方から、色々な話を聞かせてあげられるでしょう。
そんな上杉謙信の五月人形は、日輪弦月をモチーフにした品が人気です。日輪弦月は兜の前立てで、態様と月の光を表現しています。日光と月光は、戦における守護神「摩利支天」の象徴です。信仰心に厚く、学識もあった彼らしい兜と言えるでしょう。戦場にあっても取り扱いやすい実用性と、壮麗で人目を引く品格を併せ持っています。そこまで派手さはありませんが、飾り物としてはいぶし銀な渋さがあります。過剰な装飾がないため、長く眺めていても飽きがこないデザインと言えるかもしれません。
現在は様々なメーカーが、日輪弦月の兜と、謙信公愛用の鎧を製造しています。実物よりデザイン性に優れた品も多いので、確認してみてはいかがでしょうか。