雛人形と防虫剤の必要性
雛人形は桃の節句と言われる三月三日に飾る人形として古来から日本の文化として親しまれてきました。
女の子のいる家庭は小さな時から飾られ、いったいなんの為に飾られているか考えた方も多くはないのではないでしょうか?
雛人形には、現代では「健康で健やかな人間になってほしい」という願いの込められた人形です。
家のスペースなども配慮して今では小さな雛人形もあり、各家庭にあったサイズの雛人形もたくさんあります。
そんな雛人形も飾れる日数はとても少なく、一年に一度のイベントなので飾ったとしてもせいぜい一ヶ月程度…
ほとんどを押し入れや段ボールの中で過ごさなければいけないお雛様、管理の仕方もよくわからない方も多いのではないでしょうか?
雛人形の管理に大切なことは、カビや湿気などもありますが「害虫」による被害も避けなければいけません。
大切な願いの込められた雛人形に虫食いの穴があった…と気付いた頃にはせっかくのイベントも台無し
そのような事にならないようにしっかりと防虫対策をしましょう。
今の日本の環境は湿気が多く一年中、季節問わず室内は快適に過ごせてしまいます。
当然害虫たちにとっても過ごしやすく埃や湿気が大好物なものも多くいます。
雛人形というのは、お化粧や衣類の繊維質、体や衣装に使われる糊まであらゆるものが害虫たちの食料になってしまいます。
防虫対策をしっかりとせずにそのまま翌年まで仕舞っておくのは、害虫の巣を大切に保管しているのと変わらず、押し入れで過ごす環境で何世代にも繁殖してしまう…といった最悪の状況になってしまいます。
どんな防虫対策がよいのか?主にどんな害虫がいるの?と思う方もいるかもしれません。
害虫の種類としては、「ダニ」「紙魚」「カツオブシムシ」「ゴキブリ」などがあります。
ダニの主な食べものとしては埃の多い環境で繁殖してしまいます。
雛人形にそこまで大きなダメージはありませんが、ダニの多い雛人形というのはやはり気が晴れないものです…
ダニは目に見えないので、つい疎かにしてしまいがちですが、この害虫は日本全国にいる為環境が整うと爆発的に繁殖してしまいます。
そのため春先に雛人形を仕舞うときはダニの大好物「埃」の除去をしっかりとしなければいけません。
ガラスケースはもちろん、ケース内、雛人形をほうきなどで優しく取り除き、ダニの環境を壊してから防虫剤を入れた方が効果的です。
なかなか聞き慣れない「紙魚」という害虫も雛人形が被害に遭います。
紙魚は大昔から生息していたようですが、見た目がグロテスクでゴキブリのような嫌悪感を覚えますが、この害虫も湿気の多い環境を好み、絶食状態でも1年も生き、さらに寿命は7〜8年も生きると言われており、湿気も多く雛人形の紙質や糊などを食べれる環境であれば住み着いてしまいます。
もともと紙魚は古本などの紙や糊を食べているので、被害に遭えば雛人形自体に大きなダメージが出てしまいます。近くに古本などがある雛人形は気をつけなければいけません。
ゴキブリもまた雛人形が被害に遭う害虫ですが、一度入り込むと多く繁殖をし、雑食のため雛人形に使われているお化粧成分なども食べてしまいます。
ガラスケース内に入らなければ良いのですが、紙魚と同様わずかな隙間があれば入ってきてしまう為ケース内に防虫剤を入れて害虫を近寄らせず、ケース内の侵入を防いであげることが大切かと思います。
他にも害虫は多くいますが「カツオブシムシ」が一番厄介だなと感じます。
この害虫は非常に小さく、米粒より小さいのですが日本中どこにでも生息していて繁殖力も凄まじく、繊維質を好むため雛人形の着物など衣類を食害し大きな被害が出てしまいます。
カツオブシムシの幼虫のみが繊維質を好んで食べる為、成虫自体の侵入を防虫剤で防ぐ必要があります。
雛人形に使う防虫剤として注意しなければいけないものもあります。
今では「人形用防虫剤」というものが市販されていますが、人形用と書かれていないものを使用すると気化する際に、お顔や衣類に成分が付着し、シミや汚れの原因となってしまいます。
また防虫剤が残留する事によって変色や体の変形、衣類などの損傷するようなダメージが出てきますので、防虫剤を使う際には注意しましょう。
害虫を寄せ付けないように多くの殺虫剤を使うのではなく、決められた容量で大切な雛人形も守ってあげて、防虫剤で痛めてしまっては本末転倒になってしまうのは避けたいものです。
雛人形を大切に保管する為にできる事は、
○仕舞うときに埃を払う
仕舞うときにありがとうという気持ちで優しく、丁寧に埃を払い仕舞ってあげることが大切だと思います。
○虫干しをする
乾燥した季節、秋口などに5〜6時間風通しのよい場所に置いておくのが望ましいのですが、直射日光による変色や痛みは避けたいので、直射ではない日陰などで虫干しすると効果的です。
○決められた容量の防虫剤
上記の二つをした上で、決められた量の防虫剤が効果的です。
特に人形用と記載されていないものは、成分による人形の痛みが出てしまいますので、必ず容量を守り、大切な人形を保護してあげたいですね。
あなたの為に願いが込められた雛人形に「ありがとう」と、仕舞うときにも感謝を忘れず厄介な害虫から守ってあげていつまでも美しくいて欲しいなと願っています。