今さら聞けない「羽子板」の読み方とは?
お正月飾りとして人気の高い「羽子板」。ネット通販などで見かけることも多い商品ですが、正しい読み方は何なのか気になることもありますよね。今さら周りの人に聞きにくい羽子板の読み方についてお伝えします。
■そもそも羽子板とは?
昔ながらのお正月遊びといえば、羽子板やすごろく・こま回しなどを思い浮かべますよね。もともと羽子板遊びは、平安時代におこなわれていた貴族のあそびが原型といわれています。今のような羽子板の代わりに、杖をつかって毬を打ち合っていたのが習わしだそうです。
その後、室町時代にはいると「飾るための羽子板飾り」と「遊ぶための羽子板」が分かれるようになりました。江戸時代にはいると、さらに羽子板が進化をして歌舞伎役者の顔を描いた羽子板なども出回るようになります。
現在では女の子の初めてのお正月をお祝いする小道具のひとつとして、羽子板飾りが根付いています。羽子板の羽には邪気を遠くへ追いはらうという意味も含まれています。ぜひおうちに合った羽子板飾りを選んで、お子さんの成長を祝いたいですよね。
■羽子板の正しい読み方は?
羽子板は(はごいた)と読みます。羽子板のことを地域によっては胡鬼板(こぎいた)と呼ぶこともあります。胡鬼は中国からきた言葉で、虫のトンボという意味があります。黒い羽根がついた羽子板の遊びが、まるで秋のトンボが空を泳いでいるように見えたことから、この名前が付いたそうです。
ちなみに羽子板の羽によく似た「黒い羽根をもつハグロトンボ」は、神さまの使いとして古くから大切にされてきた珍しいトンボです。静かに羽をひらいたり閉じたりする様子が、まるでお祈りしている姿に見えることから神聖な生き物と思われる由縁になったそうです。
羽子板飾りをお正月に床の間などに飾っておくと、その家に生まれた女の子のお子さんがすくすく育つという言い伝えがあります。神様の使いでもあるハグロトンボに思いを寄せながら迎えるお正月は、神々しく素敵ですよね。
■羽子板の玉は、何でできている?
ちなみに羽子板の玉は、ムクロジという珍しい木から作られています。ムクロジは別名「せっけんの木」や「モクレンジ」と呼ばれている巨大な木のこと。放っておくと高さは20メートルにもなる、とても大きな木です。
神聖なパワーをもった木であることから、お寺や神社の境内によく植えられています。また固くてツヤのある実なので、その特性を生かしムクロジの木は数珠や羽子板の玉につかわれています。ムクロジの皮や実には洗浄作用もあることから、戦前はムクロジの果皮をつかって洗濯をおこなっていたそうです。「せっけんの木」と呼ばれるのはこのような理由もあります。
またムクロジは「無患子」と書きます。「生まれたお子さんに災いが、起こりませんように」という願いが込められています。羽子板飾りを見かけたら、無患子の木のことを少しだけ思い出してみると豊かな気持ちになれそうです。
■羽子板遊びと羽子板飾り
ちなみに羽子板には、2つの意味があります。
・お正月の羽子板遊び
・初正月の羽子板飾り
ひとつはお正月に、お子さん同士で遊ぶ羽子板遊び。バトミントンやテニスのように玉を打ち合って、地面に羽子板の玉が落ちてしまった方が負けという単純明快な遊びです。玉をうっかり落としてしまった方は、顔に落書きをされるという罰ゲームもついています。負けが連続すると顔中、墨だらけになってしまうので、大人も子供もつい遊びを忘れて真剣勝負になってしまいます。平安時代などは「男組」と「女組」の二手にわかれて、この羽子板つきの遊びをしていたようです。時間があれば昔ながらのお正月遊びを楽しんでみるのもおすすめです。
また羽子板には、もうひとつの意味も。それが「女の子の門出をお祝いする、羽子板飾り」です。大人の女性の顔が描かれたもの、幼子が描かれたもの、お花などがついたチャーミングなもの。現代の羽子板飾りには、バラエティに富んだ色々なデザインがあります。
初正月の羽子板飾りには「女の子のお子さんが初めて迎えるお正月」を家族みんなで盛大にお祝いするという意味があります。文字通り縁起物のアイテムなので、女の子が生まれたらぜひ用意してあげることがおすすめです。
・魔除け
・厄払い
お正月の羽子板飾りには、魔除けや厄払いといった深い意味がこめられています。数々の厄から守ってくれるというありがたいご利益が期待できます。「悪い病気やカゼにかからず、毎日すくすく育ってほしい」という古来からの思いが込められています。
羽子板飾りはリビングや床の間・玄関などの、みんなの視界にはいる所に飾るのがおすすめです。大勢の人が集まるところに飾ってあげると、より縁起物の羽子板飾りにパワーが生まれるようになります。
お子さんの成長を陰ながら応援してくれる羽子板飾り、読み方や正しい意味を知っていい初節句を迎えましょう。