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破魔弓 羽子板 とは?

破魔弓の由来を説明します。日本では古くから初正月を迎える男の子に「破魔弓・破魔矢(はまや)」、女の子には「羽子板」を贈る習わしがあります。

お正月時期に行うことの意味は、日本に古くから伝わる「節句」と深い関係があります。節句と言うのは季節の変わり目のことで、日本では昔から季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると信じられていました。節分には、邪気を追い払うための「悪霊祓い」や「厄祓い」の意味を持つ行事が多く執り行われていたのです。その昔では病気になることも、邪気や魔物と関係があると考えられていました。節句の時期には「厄除け」の意味を持つ行事をしたり、家に「縁起もの」を飾ったり飲食したりと言う風習も生まれました。

節句は、1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽の5つで、これを「五節句」と呼ばれています。一方の「節分」は、年に4回季節ごとにある「暦」の事です。

節分とは、「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」それぞれの前日を指しています。現在では節分は2月3日に行われ、翌日の4日を「立春」としていますが、これは旧暦(太陽暦)では12月31日が節分の日とされてました。そして翌日の1月1日が「立春」だったのです。

昔の日本では、鬼は邪気や厄の象徴とされていました。節分には鬼がやってくるとされていたので、病や飢餓、災害など姿形の見えない恐ろしい出来事は、全て鬼の仕業と考えられていたのです。この邪気祓いの意味を持つ行事「豆まき」が生まれました。旧暦の考えでは一年は春からはじまるとされてましたから、邪気祓いをすることはとても重要だったのです。

日本では既に縄文時代には弓矢が存在していたと言われています。狩猟・採集生活をしていたその時代、弓矢は食料を得るために必要不可欠な道具であり、神聖な意味を持つものとして扱われていたと言います。

 

古代中国では端午の節句に「鍾馗(しょうき)」と呼ばれる強い武神が現れて、弓で悪霊を退治すると言う伝説がありました。

その風習が日本の宮中に伝えられ、天智天皇の時代の西暦670年頃のお正月には、弓で的を射る儀式が行われていたと言います。お正月に弓矢を使った儀式を行うことで「魔」を打ち払い、その年の健康や豊作を願ったのです。

 

平安時代から宮中で行われていた、「鳴弦の儀」と言う儀式があります。矢は使わずに弓の弦を強く弾き鳴らして音を四方へ発することで、天地四方の邪気を祓う意味を持つ神事です。

現代の破魔弓でも、セットになった破魔矢が4本であることが多いのは、この天地四方の考えに由来するとされています。

 

弦を弾くときの音は鬼が嫌う音と信じられ、鬼が起こすとされた魔気や邪気を祓うために宮中では出産や産湯を使う際に行われてきたそうです。

この儀礼行事は現代も続いており、今日の皇室においてもお子様が誕生されてから七日目には、「読書・鳴弦の儀」が行われています。

「破魔弓」と呼ばれるようになった由来があります。飛鳥時代の「射礼」や「大射」の儀式に使われた「的」が元になっているとの事です。この儀式ではワラ縄で円座のようなものを作って的としていたのですが、この的は「はま」と呼ばれていたそうです。

そこから「はま」は弓矢でいる的、もしくは射的の競技を意味する言葉となり、後には儀式での弓矢の意味と役割から「破魔」の字を当て、それぞれ「破魔弓」「破魔矢」と呼ばれるようになったとの事です。

 

古来の人々は弓矢には「邪気を祓い、目には見えない悪霊を退散させる」と言う特別な力が備わっていると信じていたのです。

平安時代から神社や宮中で行われていた魔除けや厄祓いの「破魔弓神事」は、現代でも神社などで行われています。

 

このように破魔弓・破魔矢には、様々な邪気や災厄から身を守る力があると信じられてきました。戦国時代の武家では、厄除けや縁起ものの意味でお正月に破魔弓・破魔矢を飾る習慣があったそうです。

 

現代でもお正月に神社へ初詣に行った際に「開運厄除・家運隆昌」を祈願して破魔矢を持ち帰って神棚に飾る風習がありますが、破魔弓とセットにする場合もあるそうです。

 

新築の家の上棟式の際、屋根の上に破魔弓・破魔矢を飾る「鬼門除け」も、弓矢の持つ魔除けの力を信じてはじまった風習だそうです。

 

破魔弓・破魔矢を男の子の初正月に贈る風習も、武家社会で生まれたものだそうです。

戦国時代に弓矢などを奉納した際に神社からいただいた模擬の弓矢を、戦場での「お守り」としていたのが、由来だと言われております。そこから、武家に男児が誕生した際に、破魔弓・破魔矢を贈る風習ができたのです。

 

江戸時代の後期になると武士の風習が、庶民の間にも広がり、男の子の初正月に破魔弓・破魔矢を贈ったり、赤ちゃんの成長を祈願して神社に参拝した際に授かった、破魔矢と破魔弓を飾ったりするようになったとの事です。

 

古来より儀式では神聖な役割を担い、武士の時代には雄々しさの象徴であった事が表されています。そして「邪気祓い」や「厄除け」の意味を持ち続けてきた破魔弓・破魔矢は、まさに「生まれてきた男の子の健やかな成長のお守り」に相応しい贈りものとなりました。

 

 

 

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